
肩関節は上腕骨の上方にある上腕骨頭と肩甲骨臼蓋で構成され、球状の骨頭が皿状の臼蓋の表面をすべるように動くため、非常に広い範囲の運動が可能となっています。
しかし、骨頭と臼蓋の結合が緩いため、周囲を関節唇と呼ばれる軟骨、関節包、靭帯、筋肉、腱などが補強し、関節の滑らかな運動を可能にしています。
(下図▼・図1:肩の関節
)

従って運動のバランスが崩れる事により関節に炎症が起こりやすく、痛みや関節の動き(可動域)が制限され、日常生活が障害されることもよくあります。肩の痛みを起こす疾患はたくさんありますが原因により治療法は異なります。
以下、代表的な病気とその治療方法について紹介します。
肩が痛いとよく五十肩だと言われます。五十肩の原因はまだ解明されていませんが、肩の痛みと動き(可動域)の制限を起こします。
しかし、良く似た症状は腱板断裂や石灰沈着性腱炎、変形性肩関節症などでも見られるため、“五十肩”が6ヶ月以上良くならない場合は注意が必要です。
治療は理学療法やリハビリが中心で、初期の急性の痛みがある時期には安静と注射、内服薬などで痛みを軽減することが大切です。痛みは次第に軽減しますが、次に拘縮が起こり、関節の動きが障害されます。この時期には温熱療法などで関節を暖め、ストレッチや運動療法などのリハビリテーションが重要です。
このように、適切に治療されれば6ヶ月くらいで治ることがほとんどですが、リハビリだけで良くならない場合は関節鏡を利用して関節包を切離する手術を行うこともあります。
上腕骨頭の周りには腱板と呼ばれる筋肉の腱が取り囲んでおります。
(下図▼・図2:腱板)

腱板は上腕骨頭を臼蓋に押し付け、肩を挙げるときに働いています。腱板は、転倒して肩を打ったり、肩を捻ったりして外傷で切れる事が多いですが、明らかな外傷が無いのに起こる場合もあり、五十肩と誤られている事もあります。
症状は、肩を動かす時に痛みや引っかかりが起こり、痛みは夜間、臥床時に起こることもあります。また、物を持ち上げる力が低下します。治療は注射や理学療法、筋力トレーニングなどの保存的療法で良くなる場合も多いです。
しかし、保存的療法で改善しない場合は手術が選択されます。手術は関節鏡を用いて、小さな創を数箇所あけるだけで可能であり、筋肉を切らないため痛みも軽く、リハビリもスムーズに行えます。
(下図▼・図3)
![]() 図3:関節鏡視下手術 縫合前 |
![]() 図3:関節鏡視下手術 縫合後 |
スポーツや外傷で起こす肩関節脱臼が癖になり、軽微な外傷や日常生活の動作でも脱臼を繰り返すようになった状態を反復性脱臼と言います。
骨頭を安定化している関節上腕靭帯が臼蓋から剥離して伸びてしまい、脱臼を繰り返すようになった状態です。リハビリでの完治は難しく、手術を要する場合が多いです。手術は切開して行う方法と関節鏡視下に行う方法がありますが、切開手術では正常の筋肉や関節法を切るため関節の可動域が制限され、スポーツなどを行う際には不利になります。
従って、最近では関節鏡を用いて、小切開で傷んだ靭帯を臼蓋に縫う手術で大部分の場合、対応可能となっています。
野球やテニス、バレーボールなどのオーバーヘッド・スポーツで腱板や関節唇と呼ばれる軟骨が傷んだ状態です。治療は理学療法や筋力トレーニングなどが中心で、手術を要することはまれです。
以上、肩関節の代表疾患を挙げましたが、大切な事は適切な時期に適切な治療を受ける事です。
症状がひどくなってからだと治療が非常に大変で手術を要す事もあり、手術を受けても機能障害を残す場合さえあります。つまり、原因は各個人で様々であり、適切な診断と障害の原因の的確な把握がまず必要です。
さらに治療も個々の状態にあった適切な治療が必要になってきます。理学療法や筋肉のストレッチ、筋力トレーニングなどのリハビリで良くなる事もありますが、手術を必要とする事もあります。手術が必要になっても大部分の場合は関節鏡視下の手術が可能で、筋肉を切らないため、術後の疼痛も軽度でリハビリも楽にできるようになっております。
(下図▼・図4)
![]() 図4:手術創(切開法) |
![]() 図4:手術創(関節鏡) |
肩の痛みで苦しんでいる方は、自己判断せず、一度、受診して下さい。